ハシリドコロ[走野老・莨菪]
ナス科ハシリドコロ属の草本。和名は、食べると錯乱して走り回ること、また、根茎がトコロ(野老)に似ていることから命名された。日本の本州から四国・九州にかけて分布する多年草である。沢沿いの水辺、山間の日陰などの湿った木陰に群生する。早春に葉に包まれた新芽を出し、全長は30~60cm程度に成長する。全体に毛がなく、根茎が太いのが特徴である。茎葉はやわらかい。花期は春4 ~5月。若葉が開くと同時に花芽が出て、釣鐘状の暗紫紅色の花を下向きに咲かせる。花の中は黄色い。果実は約1㎝で、薄緑色の歪んだ球形。熟すると上部が蓋状に外れて種子を放出する。7月頃に地上部が枯れるため、夏から冬までは見ることができない典型的な春植物である。早春に生える新芽がフキノトウに似ており、誤食による食中毒の危険がある。
2025年4月23日 赤城自然園にて